賀詞交歓会

 2024年1月10日(水)、午前11時から12時半まで、東京・日本橋の日本橋三井ホール(コレド室町1)において、一般社団法人日本試薬協会の新年賀詞交歓会が開催された。肌寒い中、約250人が参集し、4年ぶりに飲食ありの賀詞交歓会として交流を楽しみ、和やかな歓談に花を咲かせた。

野澤会長の挨拶
野澤会長の挨拶


 開会の挨拶に立った野澤学会長(関東化学株式会社代表取締役社長)は、冒頭で元日に発生した能登半島地震へのお見舞いの言葉を述べたあと、本題に入った。「物価の値上がりが緩やかになり、円安も収まりつつある。昨日の日経平均株価はバブル後の最高値を更新。賃金上昇が継続しており、経済は回復基調にある」と今年の経済情勢を展望。経済産業省の政策にも触れ、「脱炭素、経済成長、エネルギー安定成長を目指すグリーントランスフォーメーション(GX)の実現に向けた今後の重点投資戦略がとりまとめられているが、それには化学や食品、バイオ分野における次世代ものづくり、半導体への投資も含められている。物流の2024年問題を含め、われわれを取り巻く環境に不安はあるが、産業発展と環境保護の両輪を回していく飛躍の チャンスでもある」と述べた。

 また、日本試薬協会の最近の取り組みとして、規格委員会において試薬JIS規格の見直しとして、高品質の試薬の確保のために26品目の規格や試験法の見直しを進めていること、試薬の社会貢献の意味で、広報委員会と電子情報委員会が協会ホームページに「学ぼう試薬!」のタイトルで動画を作成・掲載する取り組みを進めていること、安全性・環境対策委員会がPFAS(有機フッ素化合物)規制に関して欧州化学品庁(ECHA)にパブリックコメントを提出したこと、流通対策委員会が2024年問題に関連したセミナー開催や情報提供を行ったことなどを報告した。

 野澤会長は、「われわれが取り扱う試薬や関連製品は、あらゆる産業の研究開発に関与し、科学技術の発展に貢献している。これからも、世の中の動きに適切に対応できる先端業界であり続けたい。皆さまのご理解とご協力をぜひお願いしたい」と挨拶。

 さらに、最後は個人的に関心を持っているスポーツの話題に触れ、「昨年はジャイアンツの低迷が残念。ただ、ここ数年の日本のスポーツ選手の世界での活躍はすごい。メジャーリーグの大谷翔平選手、ボクシングの井上尚弥選手に注目している。たくさんの元気と感動を与えてくれた。試薬業界も、彼らのような若い世代から元気をもらって、多くの社会責任を果たし、使用するお客さまに喜んでもらえるように皆さまとともに努力していきたいと思っている。竜のごとく飛躍の年となりますことを祈念したい」と締めくくった。


 続いて、来賓を代表して、経済産業省商務情報政策局商務・サービスグループ生物化学産業課生物多様性・生物兵器対策室の堀部敦子室長が登壇。「賃上げと所得減税を組み合わせることで、国民所得の伸びが物価上昇を上回る状態をつくり出すとともに、前例のない思い切った投資減税を中小企業の省人化、省エネ投資の支援などに対して実施し、賃上げの原資となる企業の稼ぐ力を強化していく」という政策の大きな方針を説明したあと、「試薬業界の発展は、イノベーションの進展とともにある。新型コロナウイルス感染症への対応について、試薬業界の皆さまの貢献なくしては達成できなかった。次のイノベーションはバイオ。とくに、バイオものづくりは遺伝子技術によって従来の化石資源を原料としたさまざまな製造プロセスを置き換える『持続可能な製造プロセス』である。創薬分野はもちろん、食品、化学品、素材、繊維、燃料など、多様な産業領域での活用が見込まれ、次世代の産業基盤となり、わが国の競争力の核となることが期待されている。そうしたイノベーションを支える意味で、試薬業界の発展が新たな産業の創出、成長につながり、さらにはわが国の経済成長ならびに国民生活の向上に大きな役割を果たすことを期待している」と話した。

会場風景
会場風景


 最後に、堀部室長は、「いのち輝く未来社会のデザイン」のテーマのもと準備が進んでいる「2025大阪・関西万博」に言及し、「化学物質の適正な管理とテロ等の未然防止について、引き続き取り組みを強めていくことが必要。この面でご協力いただけるようお願いしたい」と述べ、挨拶を終えた。

経済産業省 堀部室長の挨拶
経済産業省 堀部室長の挨拶


 その後、吉田光一副会長(富士フイルム和光純薬株式会社代表取締役社長)が乾杯の発声に立った。まずは昨年を振り返り、「新型コロナウイルス感染症についてはパンデミックが終息して、社会活動・経済活動は正常化に向かった一方、地政学リスクの高まり、インフレの継続、さまざまな自然災害など、不安定・不確実な出来事が続いた年だった。そういう時代だからこそ、何よりも信頼関係をベースに課題を解決することが大事だ。そうできるように、本日のこのような場において業界のリーダーの方々が交流し、情報交換を図ることは非常に重要」だと指摘。さらに、「アフターコロナ元年となった昨年は、バイオ関連分野においては『コロナクリフ』と呼ばれる厳しい状況があり、それはいまも続いている。一方で、バイオ技術は発展めざましく、さまざまな分野に応用が期待されていて、研究開発あるいはバイオ産業を支援するわれわれの責務はますます重要になってきていると感じている。バイオ産業をしっかり支えて盛り上げて、お客さまとともにわれわれも発展していこう」と檄を飛ばし、乾杯の音頭を取った。

吉田副会長の乾杯の挨拶
吉田副会長の乾杯の挨拶


 なごやかな歓談が続いたあと、12時ごろに岸田充弘副会長(キシダ化学株式会社代表取締役社長)が閉会挨拶のために登壇。岸田副会長は得意の野球談義で会場を盛り上げ、今年のタイガーズ、ジャイアンツ、ドラゴンズなどの戦力を独自に分析してみせた。そのあと、「被災地の復興、皆さまの会社の発展、日本試薬協会のますますの隆盛を祈念して」と一丁締めでまとめ、和気あいあいのうちに散会した。

岸田副会長の中締め挨拶
岸田副会長の中締め挨拶



以上


歓談風景
歓談風景

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