会長挨拶

一般社団法人 日本試薬協会会長 野澤 学

 平素は当協会の活動にご協力賜わり、厚く御礼申しあげます。

 6月5日に開催された第78回定時社員総会にて、引き続き当協会会長を拝命いたしました。選出された役員の皆さまとともに、今後も試薬業界の発展のために精一杯努力する所存でございます。会員の皆さまの相変わらぬご支援、ご協力をよろしくお願い申しあげます。

 我が国の経済は米中の貿易摩擦やロシアのウクライナ侵攻、パレスチナ・ガザ地区問題などの国際情勢に大きく影響を受けております。米国ではインフレに対処するために政策金利の引上げを開始し、円安・ドル高が継続しております。昨年、新型コロナウイルスの感染症分類が緩和されてから、観光・飲食産業の業績は徐々に回復、今年は円安が急速に進行したこともあってインバウンドの消費が急拡大しました。また、経済安全保障の観点から半導体分野への投資やバイオ分野への投資はとても旺盛であり景気を引っ張っております。

 試薬業界では、原材料価格の高止まりや不十分な価格転嫁、人件費の高騰に加え、物流の2024年問題の対応に伴うコスト負担増などのマイナス材料も多く、業種間、企業規模間で業績の濃淡が表れているように思います。しかし、この数年でデジタルデバイスや生成AIの活用が急速に普及し、こうした最先端分野の研究開発にも試薬が貢献しております。これにより、高品質化や高機能化など、我々の業界に対する期待はますます大きくなっております。加えて、試薬業界は毒物・劇物、危険物などの薬品管理や悪用防止、PFAS(有機フッ素化合物)や労働安全衛生法(安衛法)などの法規制への対応など社会的責任も大きいことから、顧客にタイムリーな情報提供が求められております。

 今年は健康食品や自動車業界の不正が続いておりますが、環境負荷低減の動きやコスト増など、試薬業界を取り巻く環境が大きく変わっている状況でも、実直なモノ作りによって顧客の信頼を得ることが大切であります。当協会の事業目的は、“試薬事業を通して社会に貢献すること”であります。試薬業界が未来社会の実現を支えるオープナーである、との自覚を持って、これからも経済産業省を主幹とする関係省庁への協力、ご指導を頂きながら、科学分野の情報収集と試薬を学ぶ機会を提供してまいりたい所存です。

 会員各社、皆さまのますますの発展をお祈り申しあげ、就任のご挨拶といたします。

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