(10)培養用試薬

動物組織(細胞)培養用試薬

動物組織(細胞)の培養に用いる培地は、アミノ酸、ビタミン、核酸、またはその前駆体、炭水化物、塩類、微量金属などの栄養成分を混合して作り、そのほかに一般的に5~20%の動物血清を添加する。血清は、増殖促進成分として加えるもので、一般培地では血清を除くと細胞は増殖を停止して死滅する。血清は高価なこと、ロット差が著しく再現性が悪い、マイコプラズマ等の汚染の危険性が高いことなどにより、これらを解決するために無血清培地や血清代替物が開発され市販されている。

種別 試薬例
種 別細胞分離用 試薬例鉄粉(カルボニル鉄製)、LSM溶液、ナイロンファイバーなど
種 別細胞増殖因子 試薬例内皮細胞成長因子(ECGF)、繊維芽細胞成長因子(FGF)、上皮細胞成長因子(EGF)、牛上皮小体ホルモン、インシュリン、インターロイキン-2(IL-2)
種 別細胞接着因子 試薬例コラーゲン、フィブロネクチン、ゼラチン、ポリL-リジン、ポリD-リジン、ラミニン
種 別血   清 試薬例子牛血清、牛胎児血清、馬血清
種 別培   地 試薬例平衡塩類溶液、液体培地、粉末培地
種 別そ の 他 試薬例蒸留水(3回蒸留)、ゲンタマイシン、ペニシリン-ストレプトマイシン混液

微生物培養用試薬

微生物を培養・生育させるための栄養の供給を行うのが培地(Culture Medium)である。 その成分は、一般に炭素源、窒素源、微量栄養素(ビタミン、アミノ酸等)、無機塩(ミネラル)からなる。培地原料として、肉汁、ペプトン、酵母エキス、バレイショ、血液、血清などの天然培地のほか、組成の明らかな化学物質からなる合成培地も用いられている。 また、特定の性質を持つ微生物だけを選択的に増殖させ分離する選択培地には、抗生物質等が用いられている。

植物組織(細胞)培養用試薬

植物組織(細胞)培養培地として、最も一般的なMurashige-Skoog培地(MS培地)を初めとしてWhite培地など数多くの基本培地が考案されている。これらの基本培地に必要に応じて植物ホルモンが添加されている。最近は、基本培地については調合済培地として市販されている。基本培地には、各種無機塩、炭素源(ショ糖等)、ビタミン(ビタミンB1、ニコチン酸、葉酸等)、アミノ酸、その他天然抽出物(ココナッツミルク、酵母抽出物等)が用いられている。植物ホルモンとしては、オーキシン、サイトカイニン、ジベレリン、アブシジン酸、エチレン、ブラシノライドがある。

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