試薬会誌

新年号 2025.1 No.75年頭挨拶

一般社団法人 日本試薬協会会長 野澤 学

 明けましておめでとうございます。

 平素は当協会の活動にご協力をいただき、御礼申しあげます。

 ロシア-ウクライナの戦争や中東紛争が先行き不透明な中、世界中のインフレはようやく抑制に移りつつあり、国内経済はインバウンドの観光需要や賃金上昇による個人消費の回復で緩やかに上昇しています。今年は103万円の壁の引き上げ、大阪・関西万博の特需、円安修正による物価高の抑制や石破政権の総合経済対策による景気の押し上げを期待しております。

 経済産業省ではAI・先端半導体やバイオ・ヘルスケア部門への支援が強化されるなど、分野別投資戦略を進めております。試薬業界においても、技術革新の流れ、動きに準備するとともに、省エネルギー、環境負荷低減をテーマに取り入れる新たな社会構造を作る変化の波が来ております。これらの新しい研究・開発に使用される新しい試薬の開発、その化学的・物理的性質、危険性・有害性、取り扱いに関する調査、安定供給、悪用防止などに対応し、持続可能な社会の実現に役割を果たす先端業界であることを期待します。

 さて、2024年度の当協会活動は、規格委員会は試薬JIS規格原案作成事業を継続し、今年度分の13品目の試薬の規格、試験法の見直しを進めております。安全性・環境対策委員会では有機フッ素化合物(PFAS)規制に関し、試薬の生産や品質を確保するのに影響が大きいとして、欧州化学品庁にパブリックコメントを提出しましたが、最近では水道水、環境水中に含まれる高濃度のPFASが社会問題になっております。今後の動向を見守りたいと思います。広報委員会、電子情報委員会では当協会Webサイトに、第6話となる「学ぼう!試薬」の動画の「消防法」を製作予定であり、これまで試薬の適正な管理と正しい使用に役立っています。また流通対策委員会では、物流の2024年問題による試薬の輸送に関わるセミナー、問題点の抽出を行い、効果的な配送の可能性を検討しております。

 当協会は2000年に東部、西部試薬協会の合併で設立して以来、会員会社のご協力ならびに関係者のご助力により、このたび設立25周年を迎えることになりました。11月6日に東京の会場で設立25周年記念式典を開催いたします。当日は行政機関および関連業界団体などからご来賓をお招きし、また特別ゲストによる講演会も予定しています。詳細は決まり次第、ご案内いたしますので、多くの会員各社の皆さまにご参加いただければと存じます。

 今年も経済産業省を始め、関連業界団体の方々の相変わらぬご支援、協会会員の皆さまのご協力をよろしくお願い申しあげます。

 皆さまにとりまして巳年が良い年になることを祈念しましてご挨拶といたします。

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