法律的な定義として、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」では、試薬は「化学的方法による物質の検出もしくは定量、物質の合成の実験または物理的特性の測定のために使用される化学物質」と定義され、この定義に基づき試薬を他の一般の化学物質と区別して取り扱っている。
一方、法律上の定義とは離れて一般的な試薬の概念として考えた場合、試薬は品質や使用量などの点から一般の工業薬品とはおのずから異なった品質、供給形態が要求されるので、これを付け加えると、試薬の概念としては、「検査、試験、研究、実験など試験・研究的な場合において、測定基準、物質の検出・確認、定量、分離・精製、合成実験、物性測定などに用いられるものであって、それぞれの使用目的に応じた品質が保証され、少量使用に適した供給形態の化学薬品」ということができ、これによって工業薬品との区別がより明確となる。なお、この試薬の概念からは病院・医療関係で用いる臨床検査薬は試薬の範疇にはいるが、厚生労働省では、「体外診断用医薬品」とし、行政的な扱いを一般の試薬と別にしている。
英語では、試薬はAnalytical Reagents, Reagent Chemicals, Laboratory Chemicalsなどと表現されている。また医薬品と明確に区別するためにnot for drug useなどと表示に付記されることが多い。
なお、通常の試薬のほか、容量分析や機器分析などに用いられる標準物質、滴定用溶液、標準液類も試薬として考えることができる。
参考資料
試薬ガイドブック 改定第3版
監 修:製品評価技術基盤機構 認定センター
編 集:一般社団法人日本試薬協会
発行所:化学工業日報社
- 本コンテンツに関する詳細は「試薬ガイドブック 改定第3版」をご参照ください。
- 一部または全部の複写・複製・転訳載・磁気媒体への入力等を禁止します。